10.採卵…☆採卵…☆2004.1.20(33歳) とうとう採卵日となった。 夫は午前中会社を休んで一緒に通院してくれた。 夫は採精、私は採卵。 ホルモン注射が効いたせいか、右の卵胞はいくつも育っていた。 オペ用の服に着替えベッドで待つ。 その日、同じ時間帯の患者は3~4いたのかな・・・。 ‘毎日、誰かしら採卵しているのか・・・’そんな事を思った。 私の前の人は終わったようだ。 羨ましいと思った矢先、カーテン越しにうなり声に似た痛そうな声が聞こえてきた。 ‘・・・やっぱり痛いのか’ もうどうにもならないけど、ガッカリだった。 とうとう私の順番が来て、オペ室のドア前に立つとさすがに緊張してきた。 近くにいた看護婦さんに 「・・・緊張する」 と訴えた。 「大丈夫ですよ、5分くらいで終わりますから」 看護婦さんの明るい応対にどんなに救われたことか! オペ室に入ると独特の雰囲気で、知らないおじさん先生が一人背を向けて座っていた。 その奥に手術台があり、脚用固定ベルトが目に入った。 ‘足が動いてしまうほど痛いのか・・・ 足の自由を奪うなんて仕方ないけど屈辱的だ、まるで拷問だ・・・’ 一瞬にして思った。 生年月日とフルネームを言うと私の足は・・・固定されてしまった・・・。 初めの膣洗浄は手荒で少々痛かったが、始まってしまうと ‘5分で終わってしまうなら、何とかこの状況を楽しまないと!’ と滅多に入れないオペ室を見回したり、モニターに見入ったりした。 そうこうしてるうちに根性が座ってきてワクワクしてきた。 私の横にあるモニターには卵巣の様子が写し出されていた。 「では始めます」 おじさん先生が言うと、続けて 「ちょっとチクンとします」 と言われ、構えると本当にチクン程度で痛くなかった。 モニターに写し出された卵胞の一つは、風船がしぼむようにみるみるうちに小さくなった。 4つの卵胞が小さくなると「もうないかな?」と先生は探した。 一つ隠れていたのが見つかって、合計5コ卵子を採ることができた。 案の定、左卵巣はホルモン注射の甲斐なく無反応だったが、 今まで一度も卵胞が育った事がなかったので、5コも採卵できてラッキーだと思った。 ‘意外とスムーズにいくかもしれない・・・’ 直感で思った。 ***** 11.胚移植 へ続く ***** ジャンル別一覧
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